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非正規女性、窮地に コロナ禍、弱い立場鮮明、給与補償受けられず/職業への差別も露呈

「無給で良ければ。旦那もいるんだし」

 新型コロナウイルスの感染拡大で、弱い立場の労働者が窮地に陥っている。中でも非正規労働者の7割を占める女性は、休業に伴う給与補償を受けられないなど不安定な立場に置かれ、夫の「補完的」な収入と扱われる根深い性別役割分担の意識にも苦しむ。セックスワーカー(性風俗従事者)への差別や偏見も露呈するなど、女性と労働を巡る問題は深刻化している。

札幌市内のコールセンターに勤める50代女性は毎日、朝から夕方までマイクに向かう。100人近く集まるオペレーターは、ほとんど女性の非正規労働者だ。

 4月に入り「感染予防で休みたい」と申し出ると、上司に「無給で良ければ。旦那もいるんだし」「会社に戻れないかもしれないけど」と突き放された。そんな正社員は自主的に休んでも有給。しかも、監督のため出社すると1日数千円の手当が出ると聞いた。
 仲間の多くは小さな子供や高齢の親を抱え、家庭では子育てや介護、家事に追われる。休憩時に「家族に感染させたらどうしよう」と打ち明け合うが、仕事場ではみんな口をつぐむ。辞めさせられたら途端に「生活が行き詰まる」からだ。

 総務省の3月の労働力調査によると、2150万人の非正規労働者のうち女性は69%を占める。国税庁の18年調査では、正社員の平均年収は男性559万円に対し、女性は386万円。非正規でも男性236万円に対し、女性は154万円と格差は大きい。

 小樽商大の片桐由喜学長特別補佐(男女共同参画担当)は「稼ぎ主は男性という役割分担意識は根深く、女性の仕事は男性の補完的労働とみなされる。コロナ禍で真っ先に追い込まれるのは雇用の調整弁にされた非正規。その多くが女性たちだ」と指摘する。

 上川管内の学校給食センターで働く非正規調理職員の女性(46)は「無給の長期待機中」と言う。道の2月末の一斉休校表明を受け、勤務先からは「休め」との趣旨のメールが1通届いただけだった。

 調理員18人は全て女性非正規。「女性は大黒柱じゃないから、何も説明しなくていいと思ったのか」。自治体担当者に補償の件を聞くと、驚いた顔で「考えておく」と返された。「夫より少なくても、家族にとってなくてはならない収入なのに」。悔しくて仕方ない。